病気の説明

 

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抗生剤について

みなさん、抗生剤(抗菌薬)は風邪薬だと思っていませんか?
 
「抗菌薬は、風邪やほとんどの咳、のどの腫れには効かない」
 
「抗菌薬の過度の使用は耐性菌を増加させ、本当に必要なときに使えなくなる」
 
「抗菌薬の過度の使用は身体にとって大切な良い細菌まで殺してしまう」
 
これはイギリスの保健省が抗菌薬の過剰投与を防ぐために発行したポスターを和訳したものです。イギリスに行った小児科医がこのように話をしていました。
「イギリスに渡った時には抗生剤の使用も少なく、昔からある薬を使用していることにカルチャーショックを受けたが、その後、海外からみると日本の抗生剤の乱用こそがカルチャーショックだと気がついた。外来でも抗菌薬を投与する機会はかなり少ない。風邪様の症状で来院した患者に対しては、所見や現病歴などから細菌感染を疑う理由がある場合に限って抗菌薬を投与するという方針がはっきりしている。へたに抗菌薬を処方しているのを同僚や他の医師に見られると「恥ずかしい」くらいである。日本では普段からの抗生剤乱用により抗生剤の効きにくい耐性菌が増加したため、昔からある抗生剤が使えなくなってしまった。」 
 
しかし、この耐性菌の増加した世の中を変えることもできるのです。
北海道の根室市では地域の耳鼻咽喉科医が全員で抗生剤の使用基準、使用する薬を決めたのです。その結果、数年後には地域の子供たちの耐性菌もとても少なくなりました。これが日本中で行われる様になると世の中の耐性菌も減るはずです。
 
誤解しないでいただきたいのですが、私は決して抗生剤を使用してはいけないと言っている訳ではありません。大事なのは抗生剤の適正利用です。 したがって、診察所見、血液検査の結果、レントゲン写真の結果より細菌感染症と考えた時には抗生剤を使用します
 
医師、そして患者さんの意識が変われば世の中の抗生剤乱用もきっと減るはずです
そして、いつか日本でも「風邪をひいても多くは抗生剤がいらない」ということが常識になるのではないでしょうか